<大学創立までに山あり谷あり>
現在の高邦会グループの中核を担う学校法人国際医療福祉大学(本部:栃木県大田原市)は創立から18年、栃木県大田原キャンパスのほか、神奈川県小田原市、福岡・天神、福岡県大川市の4エリアに作業療法、理学療法、言語聴覚のほか、看護、薬学部など6学部15学科を擁する総合大学となっている。全国各地の医療機関に理学療法士、作業療法士などを輩出する名門校となっているが、創立までは山あり谷ありであったことがわかる。
当時の厚生省(現、厚生労働省)で保健医療総合大学構想、いわゆる医師以外の専門職の地位向上を求めた審議会の答申があったが、そもそも国立で行なおうとしたが、なかなか大蔵省(現、財務省)から許可が下りなかった。そのため、高木理事長、自らが厚生省の保健医療総合大学構想を栃木県に持って行き、県や地元の市に資金援助を貰う話となった。だが、大学設立の際、自己資本が3分の1あればよいという古い財務基準で計画を進めたため、実際に必要な額とは程遠い状態でのスタートとなった。
急に100億円近く資金調達しなければならない状況となり、一部の資金はグループ内で捻出し、残りは理事長自らが600社ほど回って寄附を募った。当時は日本で医療費を30兆円使っている医療経営を扱った4年制大学がないから、医療経営管理学科を作りたいと文部省に申請しても、リスクがあるため許可が下りなかった。
ただ、医療業界全体では本当に苦労していることを知ってもらうために、医療機器業界の問屋が、在庫があるような機械を同大学に寄贈するなどして、100億円近い善意のお金が集まり、ようやく開学できたという。栃木県に進出したキッカケが政治力を利用したものであっても、実際に大学設立までには苦労に苦労を重ねた末の開学であったのだ。
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